彦根城天守、附櫓及び多聞櫓

―彦根城天守、附櫓及び多聞櫓―
ひこねじょうてんしゅ、つけやぐらおよびたもんやぐら

滋賀県彦根市
国宝 1952年指定


 彦根城は彦根藩初代藩主、井伊直政の意思を次いだ旧臣が慶長8(1603)年に建造を開始した近世城郭である。その彦根城の中心にそびえる天守は、築城当時から残るいわゆる現存天守であり、全国に12基残る現存天守の中でも特に重要なものとして国宝指定を受けている。その建築は三重三階地下一階建て、天守本体に附櫓と多聞櫓が接続された、複合式の天守である。




西の丸側から天守を望む

 彦根城は多くの建造物が周囲の廃城から移築されて作られたリサイクルの城である。天守もまた例外ではなく、大津城の天守を移築したものであるとされる。大津城天守は四層であったが、それを三層に縮小して移築された為、高さに比べ横幅がやや広くなっている。なお、昭和32年に行われた解体修理で見つかった墨書から、この場所に天守が建てられたのは慶長12(1607)年頃であるということが判明している。




多聞櫓の入口から見る天守
彦根城天守は見る角度によって感じられる大きさが異なる

 彦根城天守の分類は後期望楼型であり、最上部である望楼のサイズが前期望楼型(犬山城天守など)より大きくなっている。天守を支える天守台の石垣は牛蒡(ごぼう)積み。牛蒡積みとは細長く切り出した石を差し込むように積んだ石垣で、見た目は野面積み(自然石をそのまま積んだ石垣)のようでありながら、より堅固なものとなっている。




金の鯱や唐破風の装飾金具が天守をより華やかなものにしている

 彦根城天守の特徴は華麗な意匠の外観にある。外壁は総じて白漆喰の大壁(木材の露出部分を漆喰で塗り込めて隠し、耐火性を増した壁)であり、一層目には下見板(壁に張り付ける装飾板)が張られ、突き上げ戸の武者窓(竪格子の見張り窓)が設けられている。実用的な一層に対し、二層目、三層目は禅寺の堂に見られる花頭窓(かとうまど)が据えられるなど、優雅な雰囲気を醸している。




天守内部の様子

 屋根は切妻破風、入母屋破風、千鳥破風、唐破風といった多様な破風(切妻屋根や入母屋屋根の妻側にできる三角形の部分)を巧みに組み合わせ、複雑かつ変化に富んだ外観を作り出している。破風板もまた漆喰で塗り込められ、金箔を押した装飾金具や黒漆がふんだんに使われるなど、荘厳華麗な意匠を見せる。




大きく湾曲した木材を使用している附櫓の天井梁

 彦根城天守の内部構造は、通し柱を用いず各階ごとに積み上げていく手法を取っている。壁には弓や銃で敵を狙うための狭間が設けられているが、それらの外側は漆喰で塗り固められていて敵から見つけられにくいように工夫されている。驚くべきは天井の梁で、曲がりくねった木材を巧みに組み合わせて作られた天守や附櫓の梁からは、極めて高い建築技術をうかがい知ることができる。

2008年03月訪問




【アクセス】

JR東海道本線「彦根駅」から彦根城入口まで徒歩約15分、
彦根城入口から天守入口まで徒歩約10分。

【拝観情報】

拝観料金は彦根城、玄宮園共通で600円。
拝観時間8:00〜17:00、年中無休。

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